人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

前川啓治ほか 『21世紀の文化人類学』

前川啓治・箭内匡・深川宏樹・浜田明範・里見龍樹・木村周平・根本達・三浦敦
 2018 『21世紀の文化人類学新曜社(ワードマップ・シリーズ)

 



目次
はじめに
序章 「人類学的」とはどういうことか(前川啓治)

 Ⅰ部 自然・存在・イメージの生成
1章 人格と社会性(深川宏樹)
2章 アクターネットワーク理論以降の人類学(浜田明範)
3章 「歴史」と「自然」の間で――現代の人類学理論への一軌跡(里見龍樹)

 Ⅱ部 実践―生成する世界へ
4章 公共性(木村周平)
5章 運動と当事者性――どのように反差別運動に参加するのか(根本達)

 Ⅲ部 社会科学と交差する人類学
6章 持続可能性と社会の構築――ハイブリッドな現実の社会過程の多元的な分析の必要性(三浦敦)
終章 過去・現在・未来  (箭内匡)



内容紹介(Amazonより)

いま世界の人類学者が考えていること

 

かつて思想界をリードした文化人類学は、一九九〇年代のクリフォード=マーカス『文化を書く』での民族誌の記述をめぐる批判以降、低迷してきましたが、今また新たな胎動期を迎えました。本書は批判に鍛え直されて生まれ変わった新しい人類学を紹介します。グローバル化する現代において、人類学の古典的対象(未開社会、呪術、儀礼など)は消え失せましたが、「開発」「災害」「リスク」「コモンズ」「アソシエーション」「差別」「病気」「景観」「超越論」などの現代的なキーワードを手がかりに、「21世紀の人類学」のパラダイムを提示し、魅力的で生産的な民族誌の具体例を示します。いま考えうる最も充実した「現代文化人類学入門」です。

 

 

一言コメント

 一線で活躍する若手から中堅によって著された、最新のテーマに重点を置いた現代人類学の入門書。教科書的でありながら、それぞれのトピックに対する各人の観点が強く出ているところが特徴でしょうか。体系的に文化人類学を学ぶというよりは、いまどんなことが議論されているかを知りたい人向きです。