人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

祖父江孝男 『文化人類学入門』中央公論新社(中公新書)

祖父江孝男

 1979(増補改訂版1990) 『文化人類学入門』中央公論新社(中公新書)



目次
第一章 文化人類学の世界
第二章 人間は文化をもつ
第三章 文化の進化・文化の伝播
第四章 経済の技術・生活の技術
第五章 言語――その構造分析
第六章 婚姻・家族・親族
第七章 超自然の世界――宗教と儀礼
第八章 文化・心理・民族性
第九章 文化の変化がもたらすもの
第十章 残された諸問題
付録・文化人類学を学びたい方のために

 

 

内容(増補改訂版カバー裏より)
 文化人類学とは、社会・文化・経済・宗教をはじめ諸分野にわたって、またそれぞれに異なる世界の民族を比較検証する広範な研究対象を視野に収めた学問である。その方法論として、フィールド・ワークによる具体的でしかも忍耐強い実証的な調査が重視される。本書は、この多岐にわたる学問を系統的に要約整理した入門の書として、1979年刊行以来、多くの読者を得て版を重ねてきたものを増補改訂し、学界の新しい情報を提供する。

 

一言コメント
 本書もハンディで古典的な文化人類学の入門書。人類学は対象となる領域が膨大なため、単独の日本人著者によって書かれた入門書はさほど多くなく、ある学者が理解している学問の全体像を知れるという点でも貴重な一冊です。1990年に増補改訂がなされていますが、章立てには変更はないようです。ただしいま読み直すとかなり古いなという部分も否めず、特に文化や民族を自明の枠組みとしている点や、ある種の進化を是認している点などは注意して読まないと危険かもしれません。