人類学の書籍紹介

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澤井充生 2019 『現代中国における「イスラーム復興」の民族誌』

澤井充生

 2019 『現代中国における「イスラーム復興」の民族誌 ――変貌するジャマーアの伝統秩序と民族自治明石書店 

 

目次

まえがき

序章

第1部 現代中国の民族・宗教・社会主義

第1章 中国西北のイスラーム寧夏回族の社会生活

第2章 中国共産党の民族・宗教政策と回族社会

第2部 国家権力と清真寺

第3章 清真寺の伝統秩序と権力構造

第4章 清真寺に介入した国家権力――共産党・行政・宗教団体・清真寺の共棲

第3部 変貌する宗教儀礼と民族文化

第5章 異端視される死者儀礼――イスラーム改革の理想と現実

第6章 異民族には嫁がせない――民族内婚とその変容

第7章 酒がならぶ円卓――婚礼にみる回族の「漢化」

第4部 中国イスラーム界に流布する愛国主義

第8章 統制される宗教、脱宗教化される民族

第9章 「右派分子」から殉教者へ――政治運動に翻弄された宗教指導者

終章 現代中国における「イスラーム復興」のゆくえ

あとがき

 

内容

文化大革命終了後の改革・開放政策により、1980年代以降、中国各地で「イスラーム復興」が開花する。本書は、それに伴う清真寺を中心とするジャマーアの秩序形成に見られる変容と、共産党主導の国民統合とムスリム少数民族との政治力学について考察する。