人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

岩田慶治 1996 『<わたし>とは何だろう ――絵で描く自分発見』

岩田慶治

 1996 『<わたし>とは何だろう ――絵で描く自分発見』 講談社(現代新書) 

 

目次

PartⅠ 絵で描く自分発見

扉のまえで

1 人生の眺め

2 からだの世界から魂の空間へ<入る>

3 そこ ――日常であって非日常の空間

4 自分が見えてくる

5 シンクロニシティ空間

6 水のもと・不生の水

7 答えてくれ、あなたは誰か

8 飛び立つ

PartⅡ 自分史のなかの文化人類学

1 混沌からの出発

2 普遍へ

あとがき

 

内容(表紙より)

 わたしとわたしの周りの世界とは別のもの?対象として世界を捉える知を捨て、じかに自然に感応しつつ、山川草木のなかに自分という風景を描き出す。

 

一言コメント

 後期岩田思想のエッセンスがつまった文化人類学エッセイ。アニミズムについての観察を基に、世界と浸透しあいつつわずかに浮かび上がる「わたし」について、平易ながら独自の思考を巡らせた一冊です。昨今はやりのインゴルドらの議論とほぼ同じことを、岩田に連なる京都学派系列の人たちはずっと早くから言っていたわけなので、今こそ読み直して評価すべきところはきっちり評価すべき時のように思います。