人類学の書籍紹介

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根本達 2018 『ポスト・アンベードカルの民族誌』

根本達

 2018 『ポスト・アンベードカルの民族誌 ――現代インドの仏教徒と不可触民解放運動』 法蔵館

 

目次

序章 研究の視座:同一性の政治学と生活世界における寛容

第一章 フィールドワークについて

第二章 歴史的背景:一九五六年以前と一九五七年以降

第三章 反差別の取り組みと自己尊厳の獲得

第四章 仏教儀礼とカテゴリー化を逃れる意味の創出

第五章 超自然的な力と対面関係の網の目の構築

第六章 「団結か、愛情か」という二者択一の問い

第七章 「過激派」のアイデンティティ・クライシス

第八章 「半仏教徒・半ヒンドゥー教徒」の戦術的な試み

第九章 佐々井秀嶺による矛盾する実践

終章 隠蔽される声、等質性なき連帯、生成変化の政治学

参考文献、あとがき、索引

 

内容

ヒンドゥー教から仏教への集団改宗から半世紀、「父なる指導者」亡き後の不可触民解放運動の現在。自己尊厳を希求する活動家たちの闘争、改宗後もヒンドゥー教の神を信仰する在家信者、被差別者の中から被差別者が生まれる矛盾、アンベードカルの意思を継ぐ佐々井秀嶺の宗教実践。ナーグプル市の反差別運動を巡って立ち現れる「対立と寛容」を仏教徒(元不可触民)の視点から描き出す。