人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

川田順造 1976 『無文字社会の歴史』

川田順造

 1976 『無文字社会の歴史 ――西アフリカ・モシ族の事例を中心に』 岩波書店

 ※同時代ライブラリー・16(1990)、岩波現代文庫学術60(2001)も有

無文字社会の歴史―西アフリカ・モシ族の事例を中心に (岩波現代文庫)

無文字社会の歴史―西アフリカ・モシ族の事例を中心に (岩波現代文庫)

 

 

目次

1 はじめに

2 非文字資料の一般的性格

3 文字記録と口頭伝承

4 モシ族の場合

5 系譜の併合

6 絶対年代の問題

7 歴史の始点

8 反復する主題

9 口頭伝承の定型化

10 首長位の継承

11 歴史伝承と社会・政治組織

12 イデオロギー表現としての歴史伝承

13 歴史伝承の「客観性」

14 歴史伝承の比較

15 制度の比較

16 発展段階の問題

17 「伝統的」社会という虚像

18 神話としての歴史・年表としての歴史

19 文字と社会

20 おわりに

 

内容

無文字社会の歴史のあり方を探究することは,人類文化における文字社会を相対化する視点を築くことに通ずる.1960年代から70年代前半に西アフリカ・モシ族を現地調査し,口頭伝承や太鼓ことばなどの豊かな音の世界や儀礼から無文字社会の歴史と構造を鮮やかに分析した本書は,日本の文化人類学の記念すべき達成である.

 

一言コメント

 日本文化人類学会の巨星、川田順造の代表作。文字を持たず、太鼓のリズムで歴史を伝えるモシ族の人々について、人類学的な知見を縦横に駆使して分析した一冊です。私がこの本を読んだのはもう20年も前の中学時代なので、正直に言って詳しい内容は忘れてしまいましたが、非専門家にも読みやすく、かつエキサイティングな一冊であることは間違いありません。