人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

関根康正 2018 『ストリート人類学』

関根康正

 2018 『ストリート人類学 ――方法と理論の実践的展開』 風響社 

ストリート人類学―方法と理論の実践的展開

ストリート人類学―方法と理論の実践的展開

 

  

目次

 序章 ストリート人類学という挑戦(関根康正)

起 メジャー・ストリートの暴力と排除に抗し――棄民される人々の中へ

 一章 新たなローカリティを創発せざるを得ない人々(トム・ギル)

 二章 施設と暴力の現在(飯嶋秀治)

 三章 児童養護施設等における暴力問題の理解と対応(田嶌誠一)

 四章 如何に被差別の当事者性を獲得するか?(根本 達)

承 ストリートの表層と内奥の往還――新しい敷居の発見から自覚へ

 五章 ゾンビ化するストリートの存在論(近森高明)

 六章 ストリートの記憶と痕跡(南 博文)

 七章 パリと東京のストリートにおける共同性(モニカ・ザルツブルン)

 八章 野菜とひとが紡ぐローカリティ(鈴木晋介

 九章 阿波木偶の伝統と被差別民の漂泊性(姜 竣)

 一〇章 放浪民ジョーギーの定住化と呪術性の現在(中野歩美)

 一一章 カンボジアにおける市場経済化と絹織物業(朝日由実子)

 一二章 国境を越えるねずみたちのストリート(森田良成)

転 マイナー・ストリートの創造力︱︱ヘテロトピア・デザインに向かう実践

 一三章 下からの創発的連結としての歩道寺院(関根康正)

 一四章 ハノイ民衆ストリートの文化組成力とアフリカ受容(和崎春日)

 一五章 ストリート言語から国民形成の鍵へ(小馬 徹)

 一六章 ネオリベラリズムとカナダ・イヌイットの社会変化(岸上伸啓)

 一七章 生まれ育った地域で生きる(村松彰子)

 一八章 災害ユートピアが終わるとき(小田 亮)

結 ストリート人類学の要諦――「ネオリベ・ストリート化」から「根源的ストリート化」へ

 一九章 ヘテロトピアと近傍(西垣 有)

 二〇章 ヘテロトピア・デザインの実践(関根康正)

 結章 ストリート人類学の方法と理論(関根康正)

総括討論

 1 生成変化という一つの先端をめぐって(西垣 有)

 2 路傍の信仰とノスタルジアからみたストリートの人類学(野村雅一

 3 「神話」と「後背地」から見たストリート人類学(阿部年晴)

 あとがき/索引

 

内容

 ネオリベラリズムという名の妖怪が人類を路上に追いやっている。世界の街角からその実態を拾い上げ、極北においてなお発現する人間の創発力をも捉えようとする、人類学的研究の社会的コミットメントの成果。