山内昶 1994 『経済人類学への招待』
1994 『経済人類学への招待 ――ヒトはどう生きてきたか』 筑摩書房(ちくま新書013)
目次
はじめに
第Ⅰ章 豊かな未開 vs 貧しい文明
第Ⅱ章 ヒト科ナマケモノ属 vs カローシ属
第Ⅲ章 進歩神話 vs 退歩神話
第Ⅳ章 成長経済 vs 定常経済
おわりに
内容
経済成長という死の舞踏を踊りつづける「豊かな」現代文明。コンピュータ・シミュレーションによる未来予測では、大量の生産と消費の果てに二十一世紀末には地球規模のカタストロフィが全人類を襲うという。はたして現代の経済システムの危機をのりこえる道はあるのか。本当の豊かさとは何かを考えるための経済人類学入門。
一言コメント
経済人類学が明らかにしてきた「未開」社会のデータを駆使しつつ、狩猟採集などの生活が極めて豊かかつ持続可能なものである一方、近代社会とはいかに非合理で効率の悪い生活であり、のみならず人間を存亡の危機に追いやっているかを論じる一冊。どうも著者自身はフィールドワークをしていないようで、そのあたりの書き振りが同業者にはちょっと物足りなく思える面もありますが、経済人類学の議論をハンディに参照できるという点ではたいへん有用な一冊です。