人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

フレーザー 1994 『図説 金枝篇』

フレーザー、ジェームズ

 1994(1978初版、1890年原著初版) 『図説 金枝篇』メアリー・ダグラス(監修)、サビーヌ・マコーマック(編)、内田昭一郎(訳)、東京書籍 

図説 金枝篇

図説 金枝篇

  • 作者: サージェームズジョージフレーザー,メアリーダグラス,サビーヌマコーマック,内田昭一郎
  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 1994/10/31
  • メディア: 単行本
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目次

メアリー・ダグラスの序文
J・G・フレーザーによる1911年版への序文
編者まえがき
編集ノート

第一部 呪術と王の成り立ち
第一章 森の王
第二章 祭司たる王
第三章 共感呪術
第四章 呪術による天候の支配
第五章 神格をもつ王
第六章 樹木崇拝
第七章 植物の生育と性の関係
第八章 聖なる結婚
第九章 オーク崇拝

第二部 タブーと霊魂の危難
第一章 王者の重荷
第二章 霊魂の危難
第三章 タブーとされる行動と人物
第四章 未開人への感謝

第三部 死にゆく神
第一章 神々の死
第二章 聖なる王を殺すこと
第三章 王殺しに代わる慣習
第四章 樹木の霊を殺す

第四部 アドニス
第一章 アドニス神話
第二章 シリアにおけるアドニス
第三章 古今のアドニス

第五部 穀物
第一章 デメテルとベルセポネ
第二章 ヨーロッパその他における「穀物の母」と「穀物の娘」
第三章 リテュエルセス
第四章 神を食う儀式

第六部 身代わり
第一章 災厄の転嫁
第二章 身代わりについて
第三章 古代における人間のいけにえ
第四章 メキシコにおける神殺し
第五章 サトゥルナリア祭とそれに類する農神祭

第七部 麗しき神バルデル
第一章 天と地のあいだ
第二章 バルデル神話
第三章 ヨーロッパの火祭り
第四章 火祭りの意味
第五章 人間を焼き殺すこと
第六章 夏至前夜に摘む魔法の花
第七章 バルデルとヤドリギ
第八章 体から離れた霊魂
第九章 金枝
第十章 ネミよさらば

 

内容

フレーザーの名著,『金枝篇』が読みやすい一冊に!

殺される祭司、共感呪術、タブー、アドニス、オーク信仰…。

民族学の古典『金枝篇』に170点もの資料図版を挿入し、膨大かつ難解な内容のエッセンスを平易に解説した決定版。

 

一言コメント

 全13巻にもおよぶフレーザーの大著『金枝篇』を要約し、170点もの関連図版を挿入して一巻にまとめた労作。かの有名なネミの森の司祭がなぜ殺されねばならないかについて、古今東西の神話を渉猟しながら解き明かしてゆく、19世紀民族学の精華です。もちろん今の目から見ると、西洋を頂点として疑わない単純な進化主義や、資料の扱いの恣意性など問題は多々ありますが、少なくとも王殺し神話をめぐる資料としての、また優れた読み物としての価値は減じることがないでしょう。

訳文については、序文は人類学の概念を理解していない感じでちょっとですが、それ以外の本文は読みやすいです。なお『図解 金枝篇』は上下巻で講談社学術文庫からも出ていますが、こちらは未読のためどちらの訳が良いかはわかりません。

 

図説 金枝篇(上) (講談社学術文庫)

図説 金枝篇(上) (講談社学術文庫)

  • 作者: ジェームズ.ジョージ・フレーザー,メアリー・ダグラス,サビーヌ・マコーマック,吉岡晶子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/04/11
  • メディア: 文庫
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図説 金枝篇(下) (講談社学術文庫)

図説 金枝篇(下) (講談社学術文庫)

  • 作者: ジェームズ.ジョージ・フレーザー,メアリー・ダグラス,サビーヌ・マコーマック,吉岡晶子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/05/12
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