人類学の書籍紹介

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尾崎孝宏 2019 『現代モンゴルの牧畜戦略 ――体制変動と自然災害の比較民族誌』

尾崎 孝宏

2019 『現代モンゴルの牧畜戦略 ――体制変動と自然災害の比較民族誌』 風響社

現代モンゴルの牧畜戦略―体制変動と自然災害の比較民族誌

現代モンゴルの牧畜戦略―体制変動と自然災害の比較民族誌

 

 

目次

はじめに

第1章 本書のねらいと視野

 第1節 モンゴル高原と牧畜をめぐる基本条件

 第2節 モンゴル(人民共和)国における社会主義化と民主化

 第3節 牧畜戦略と郊外化の概念

 第4節 本書のもくろみと学問的意義

 

第2章 モンゴル国遠隔地における牧畜ユニットの構成と季節移動

 第1節 オンゴン郡における牧畜ユニット

 第2節 夏季の営地選択の年変動

 第3節 年間移動ルートのパターン

 

第3章 内モンゴルにおける牧畜ユニットの構成と季節移動

 第1節 内モンゴルにおける定住化プロセスとゾドの影響

 第2節 固定家屋化と牧畜ユニットの変動

 第3節 内モンゴルモンゴル国の比較(1990年代末段階)

 

第4章 モンゴル国における郊外の成立と牧畜戦略の実践

 第1節 郊外化の事例1(ボルガン県)

 第2節 郊外化の事例2(ヘンティ県南部)

 第3節 郊外化の事例3(ヘンティ県東部)

 

第5章 ゾドがもたらす牧畜戦略の変化

 第1節 個人的経験としてのゾド

 第2節 地方社会レベルにおけるゾド経験の意味

 第3節 遠隔地におけるゾド対応としての鉱山

 

第6章 内モンゴルにおける郊外成立の要因

 第1節 西部大開発に伴う諸政策

 第2節 草畜平衡の規定と実態

 第3節 郊外化の事例1(ウランチャブ市)

 第4節 郊外化の事例2(シリンゴル盟)

 

第7章 モンゴル国および内モンゴルの遠隔地における牧畜戦略の実践

 第1節 オンゴン郡における遠隔地化の検討

 第2節 モンゴル国遠隔地におけるウマの社会的機能

 第3節 内モンゴルにおける遠隔地の牧畜戦略

 

第8章 結論

おわりに

 

内容

モンゴル国内モンゴル自治区における近20年の牧畜産業の動態を比較検討。異なる国家、社会、政策のもと、多様化と変容の差はありながら、共通する二極構造を析出。それは、近郊と遠隔地の二極化が国境を挟んで同時進行する様態だが、その背景や内実にも多くの共通点があった。精緻な調査が描く、草原の構造変化とは。