人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

河野正治 2019 『権威と礼節 ――現代ミクロネシアにおける位階称号と身分階層秩序の民族誌』

河野正治

2019 『権威と礼節 ――現代ミクロネシアにおける位階称号と身分階層秩序の民族誌』 風響社

 

目次

序論 現代ミクロネシアにおける身分階層秩序の民族誌――本書の視座

  第Ⅰ部 ポスト植民地時代における位階称号と礼節の技法

第一章 歴史のなかの首長制

第二章 行為としての礼節

第三章 礼節のポリティクス

間奏 「外国人」から「東京のソウリック」へ――称号をもらうまでの道のり

 

 第Ⅱ部 首長の権威と祭宴のポリティクス

第四章 親族の協力と葛藤――村首長の一家を焦点として

第五章 祭宴を通じた共同体の維持と創出

第六章 初物献上の時間性

第七章 「首長国ビジネス」と対峙する島民たち

結論 ポスト植民地時代の身分階層秩序をめぐる権威と礼節

 

あとがき

 

 

内容

伝統的権威体制と近代国家体制が今も併存するポーンペイ島。その均衡は、成人の大半が持つ位階称号の権威とそれに見合う礼節によって保たれてきた。本書は、礼節の技法の持つ潜在的な力=新たな関係性を生み出す力を軸に、変容する島の社会と動態的な規範概念を描き出す。

 

 

一言コメント

 オセアニア研究では里見氏と並んで注目されている若手人類学者、河野氏の博論出版。位階称号に生きる人々と現代との相克を描く骨太な民族誌(のはず)です。単著としては未読なので、いずれ追記します。