阿部年晴(編) 2007 『呪術化するモダニティ ――現代アフリカの宗教的実践から』
阿部年晴(編)
2007 『呪術化するモダニティ―現代アフリカの宗教的実践から』 風響社
目次
まえがき
プロローグ:瞬間を生きる個の謎、謎めくアフリカ現代(近藤英俊)
第1部 呪術とモダニティ、その理論的検討
妖術と近代──三つの陥穽と新たな展望(浜本 満)
E=Pを読み直す──オカルトエコノミー論を越えて(出口 顯)
呪術・憑依・ブリコラージュ──真正性の水準とアイデンティティ(小田 亮)
妖術表象と近代国家の構図──妖術というキアスム(菊地滋夫)
神々をめぐる経済──ベナン南西部における伝統宗教と経済活動(田中正隆)
第2部 ポストモダンの宗教的実践、そのリアリティ
グローバリゼーションとしてのペンテコステ主義運動(小泉真理)
〈歴史〉を営む
──南アフリカのグリクワ独立教会における〈歴史〉の共有(海野るみ)
エピローグ:「後背地から……」(阿部年晴)
あとがき
内容
近代化とともに衰退したはずの呪術・妖術が今日も日常的に実践されているアフリカ。国家や資本主義にも組み込まれたこれら宗教的実践に新たな考究の眼を注ぐ時、オカルトに浸る日本をも照射する別の「近代」像が結ばれる。注目の論集。
一言コメント
今は亡き阿部年晴氏によって編集された(とされている)、現代アフリカにおける呪術をめぐる論集。大御所の研究者たちが、近代化という不確定性の高い文脈の中でリスクを飼いならすために呪術的実践が盛んとなる、いわゆる呪術復興について論じた読み応えのある一冊です。