人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

綾部恒雄ほか(編) 1982 『文化人類学入門リーディングス』

綾部恒雄・大林太良・米山俊直(編) 

 1982 『文化人類学入門リーディングス』 アカデミア出版

文化人類学入門リーディングス (1983年) (アカデミア・リーディングス文化人類学〈1〉)

文化人類学入門リーディングス (1983年) (アカデミア・リーディングス文化人類学〈1〉)

 

 

目次

Ⅰ 文化の起源と変化

解説Ⅰ 大林太良

1 家族の起源 キャサリン・ガフ

2 未開民族の神話 A.E.イェンゼン

3 東南アジアにおける国家と王権の観念 R.ハイネ=ゲルデルン

4 民族間体系と民族学 W.E.ミュールマン

 

Ⅱ 文化-社会の分類・形態・機能

解説Ⅱ 米山俊直

5 親族関係の類別的体系 A.L.クローバー

6 呪術の形態と機能 E.E.エヴァンズ=プリチャード

7 土着の文明の中の小さな共同体 マッキム・マリオット

8 アフリカの社会 ルーシー・メアー

 

Ⅲ 文化の「普遍性」と価値

解説Ⅲ 綾部恒雄

9 文化の普遍的側面 G.P.マードック

10 未開文化における存在と価値 ドロシー・リー

11 百パーセント・アメリカ人 ラルフ・リントン

12 ンデンブ族の儀礼における色彩分類 V.W.ターナー

 

内容(巻頭言「今なぜリーディングスか」より)

 一つの学問のおもしろさを知り、深く理解し、さらに自分の研究する力を育てていくのには、すぐれた専門の論文を読むのがよい。共通の知識として知っていなければならない古典的論文、特定の問題についての基本的な寄与、最先端をいく論考、展望を与えてくれる論文、これから発展する萌芽を秘めた研究などを読むのがよい。文化人類学(民族学)でもこれは同じことである。このリーディングスは、厖大な文献のなかから分野別に厳選された論文を集め、文化人類学を学ぶ者、研究する人たちに提供する。教材として、また研究上の参考として活用され、わが国におけるこの学問の発達に資するのが目的である。 

 

一言コメント

 リーディングスというと日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、要はその分野の重要論文集のことです。本書はアカデミア出版から全22巻の予定で企画され、けっきょく二冊しか出なかった「アカデミア・リーディングス文化人類学」の第一巻にあたるもの(もう一冊は『社会人類学リーディングス』)。非常に古い論文ばかりですが、改めて読むとその古さも含めて面白いです。ハイネ=ゲルデルンやマッキム・マリオットが入っているのもセンスが良い。