山口昌男 1982『文化人類学への招待』
目次
はじめに
Ⅱ 「交換」の経済人類学
Ⅲ 構造論人類学の流れとリオ族の交換
Ⅳ 女性の宇宙論的位相
Ⅴ 政治の象徴人類学
Ⅵ 再びポーランドへ
はい、山口さん、私はこのように聞きました 大江健三郎
あとがき
内容
ポーランドの知的風土に始まり、交換という経済行為の背後に見えがくれする宇宙論的構図、女性が開示する文化のルーツ、政治の演劇的解釈など、現実の多義性を読みとき文化の全体像を回復しようとする試み。文化人類学が内包する知の挑発的部分のありかを示し、学問の形式を使って知の深層にふみこもうとする人のための入門書
一言コメント
山口昌男が「文化人類学入門」と題しておこなった市民講座の講演に基づく入門新書。マリノフスキーから書き起こして機能論、贈与論、構造主義、象徴論と語ったうえで山口自身の道化論に寄せる形でマリノフスキーの友人であった劇作家ヴィトケヴィッチで締めるという独特の構造を取っています。人類学の包括的な知識を得るというよりは、読み物として学問のエッセンスを感じるための一冊です。