人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

松村圭一郎・中川理・石井美保(編) 『文化人類学の思考法』

松村圭一郎・中川理・石井美保(編)
 2019 『文化人類学の思考法』世界思想社



目次
はじめに すべての考える人のために
序論    世界を考える道具をつくろう(松村圭一郎・中川理・石井美保)

第I部 世界のとらえ方
 1 自然と知識――環境をどうとらえるか?(中空萌)
 2 技術と環境――人はどうやって世界をつくり、みずからをつくりだすのか(山崎吾郎)
 3 呪術と科学――私たちは世界といかにかかわっているのか(久保明教)
 4 現実と異世界――「かもしれない」領域のフィールドワーク(石井美保)

 

第II部 価値と秩序が生まれるとき
 5 モノと芸術――人はなぜ美しさを感じるのか?(渡辺文)
 6 贈り物と負債――経済・政治・宗教の交わるところ(松村圭一郎)
 7 貨幣と信用――交換のしくみをつくりだす(深田淳太郎)
 8 国家とグローバリゼーション――国家のない社会を想像する(中川理)
 9 戦争と平和――人はなぜ戦うのか(佐川徹)

 

第III部 あらたな共同性へ
 10 子どもと大人――私たちの来し方、行く先を見つめなおす(高田明
 11 親族と名前――関係している状態をつくるもの(髙橋絵里香)
 12 ケアと共同性――個人主義を超えて(松嶋健
 13 市民社会と政治――牛もカラスもいる世界で(猪瀬浩平)

参考文献
もっと学びたい人のためのブックガイド
索  引

 

内容紹介(出版社ページより)

あたりまえを疑う。言うは易しだが、これが思うようにできない。手ぶらでやろうとすると気づかぬうちにかつての「あたりまえ」のなかに囚われてしまう。生活のあたりまえ、男女のあたりまえ、会社や仕事のあたりまえ、経済や文化のあたりまえ、国家のあたりまえが劇的に変わっていこうとしているなか、これまでの「あたりまえ」から出ていくためには、優れた道具が必要となる。

 

文化人類学は「これまでのあたりまえ」の外へと出ていくための「思考のギア(装備)」だ。本書はその最先端の道具が一式詰まった心強い「道具箱」だ。こんなに「使える」本は滅多にない。ビジネスマンからクリエイター、学生まで、下手な実用書を買うくらいなら、これを常備しておくことをおすすめする。



一言コメント
 現在の日本における有力な中堅人類学者が集まって編集した人類学的思考の手引き。おそらく人類学入門の決定版として末永く参照されることになるであろう一冊。