人類学の書籍紹介

人類学の文献を(読んだものは)コメント付きで紹介します

関谷雄一・高倉浩樹(編) 『震災復興の公共人類学』

関谷雄一・高倉浩樹(編)

 2019 『震災復興の公共人類学 ――福島原発事故被災者と津波被災者との協働』 東京大学出版会

  

目次

序 論 災害に抗する公共人類学への誘い(関谷雄一)

I 震災復興の映像アーカイブ

第1章 灰色地帯を生き抜けること――「つくば映像アーカイブ」から考える(箭内 匡)

第2章 避難者のセーフティネット作りから映像アーカイブ制作への発展(武田直樹)  

第3章 『立場ごとの正義』――自主避難者の視点から映像を撮る(田部文厚)

第4章 災害に抗する市民の協働(関谷雄一)

II 福島第一原発事故被災者に寄りそう実践の試み

第5章 原発事故避難者受け入れ自治体の経験

    ――ソーシャル・キャピタルを活用した災害に強いまちづくりを目指して(辻内琢也・滝澤 柚・岩垣穂大/研究協力:佐藤純俊)

第6章 当事者が語る――一人の強制避難者が経験した福島第一原発事故(トム ギル・庄司正彦)

第7章 まなび旅・福島――公共ツーリズムの実践(山下晋司)

III 津波被災地の生活再建の現場から

第8章 現在から過去へ,そして未来へ――「復興」への手探りの協働(木村周平・西風雅史)

第9章 津波被災後の稲作農業と復興における在来知の役割(高倉浩樹)

第10章 震災とデス・ワーク――葬儀業による死後措置プロセス支援の展開(田中大介)

 

内容

公共人類学とは,公共的課題に関与し,理論的・実践的に取り組むことで,社会に貢献する人類学であり,それを通して人類学の公共性を推進しようとするものである.本書は,この公共人類学の理論を,日本社会で起きた災害(東日本大震災福島第一原発事故)のなかで実践した記録であり,最新の研究成果である.